お電話でのお問い合わせ090-2119-9744
企業の競争力を高める上で知的財産戦略の重要性が増しています。その中でも、特許は技術革新の成果を保護し、企業の優位性を確保するための重要なツールです。しかし、特許を取得するためには、その発明が「新規性」と「進歩性」という2つの重要な要件を満たしていなければなりません。これらの要件を確認するために欠かせないのが、特許調査です。
新規性とは、その発明が公知でないことを意味します。つまり、特許出願前に日本国内外において公然と知られていたり、公然と実施されていたり、刊行物に記載されていたりしてはいけません。例えば、自社の技術者が学会で発表してしまった内容や、製品として既に市場に出回っているものについては、原則として新規性がないと判断されます。
進歩性は、その発明が当該技術分野における通常の知識を有する者(当業者)にとって容易に想到できるものではないことを意味します。例えば、既存の技術を単に組み合わせただけの発明や、公知の技術を別の分野に適用しただけの発明などは、進歩性がないと判断される可能性が高くなります。
特許調査を行うことで、以下のような重要な利点が得られます:
権利化の可能性の判断:
特許調査を通じて類似の先行技術を把握することで、自社の発明がどの程度新規性・進歩性を有しているかを判断できます。これにより、権利化の可能性を事前に評価し、出願戦略を立てることができます。
特許請求の範囲の適切な設定:
先行技術を把握することで、それらと差別化できる特徴を明確にし、適切な権利範囲を設定することができます。これは、強い特許権を取得する上で非常に重要です。
他社権利の侵害リスクの回避:
特許調査は、自社の技術開発が他社の特許権を侵害していないかを確認する上でも重要です。事前に他社の権利状況を把握することで、将来的な紛争リスクを低減できます。
研究開発の方向性の決定:
特許調査を通じて技術動向を把握することで、今後の研究開発の方向性を決定する際の参考情報として活用できます。
特許調査を効果的に行うためには、以下のような方法が有効です:
分類検索:
国際特許分類(IPC)やFI、Fタームなどの分類を活用して検索を行います。これにより、キーワードでは拾いきれない関連技術も広く調査できます。
引用文献の確認:
関連性の高い特許文献が見つかった場合、その引用文献や被引用文献も確認することで、より広範囲な調査が可能になります。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の活用:特許庁が提供する無料のサービスを利用して、効率的に特許情報を検索・閲覧することができます。
特許調査は、単に新規性や進歩性を確認するだけでなく、自社の知的財産戦略全体に大きな影響を与える重要な活動です。適切な特許調査を行うことで、より強固な特許ポートフォリオを構築し、企業の競争力を高めることができるでしょう。